私がマウスピース矯正をしなくなった理由についてお話しします。
当院が運営するYouTubeチャンネル「九段下スターデンタル田中 和之」では理事長の田中が矯正についてわかりやすく解説する動画を定期的に配信しています。
今回は「人気の治療なのに、マウスピース矯正をしない理由」というテーマで配信した動画の内容をご紹介します。
この記事をお読みいただくことで、「結局、マウスピース矯正っていいの?悪いの?」ということが分かるかと思います。
僕自身、審美歯科医として20年の経験と、総数1万件を超える治療を行ってきましたが、その中で過去にマウスピース矯正を取り入れていた時期がありました。その経験をもとに、なぜ今は行っていないのかをお話したいと思います。
マウスピース矯正をやらなくなった理由の1番は、適応症が限られるからです。
マウスピース矯正では、「噛み合わせの調整が難しい」、「歯を大きく移動することが難しい」、「噛み合わせの深い症例は難しい」、「歯体移動が難しく、傾斜移動になってしまう」というように、マウスピース矯正には向かない治療があります。
ここ数年でマウスピース矯正をするクリニックも患者さんも増えました。それと同時に、トラブルも急増しているので気を付けてくださいと、矯正歯科学会も公式に注意喚起を促しています。
適応症ではないのに、マウスピース矯正で治そうとするとどうなるのでしょうか。典型的なパターンをお話しします。
最初は2年で終わる予定でマウスピース矯正を始めたけど、5年経っても終わらないなど、治療期間が長くなるケースがあります。また、前歯だけは綺麗に並んだけど、噛んだ時に前歯しか当たらず奥歯で噛めなくなるという、噛み合わせが悪くなるケースもあります。
このようなトラブルが急増していると聞いていますので、あと数年後にはトラブルがもっと増えると思います。
マウスピースの適応症で綺麗に治る症例は、「軽症な症例」です。特に前歯だけの部分矯正です。
では、なぜ僕が前歯の部分矯正でもマウスピース矯正をやらなくなったかと言うと、前歯だけの部分矯正であれば、〝神経を残す〟歯に優しいセラミック矯正でも治せますし、日本人の場合にはマウスピース矯正よりもセラミック矯正の方が優れているからです。
どうして「日本人の場合は」と言いますと、日本人は歯が大きすぎることや、歯が黄色いという特徴があります。歯が白くて歯の大きさも丁度いい欧米人であれば、マウスピース矯正で部分矯正をすれば綺麗に治ります。しかし、日本人がマウスピース矯正で部分矯正をしたとしても、大きくて黄色い歯が並ぶだけです。それだったら、セラミック矯正で小さい歯にして並べたほうが圧倒的に綺麗ですし、歯の色も自由に選べます。セラミック矯正は数週間で完了しますので、すぐに綺麗になれるのも大きなポイントです。
セラミック矯正と一口に言っても、〝神経を取る〟セラミック矯正はあまりにも歯に悪いため、やってはいけません。歯に優しく、やっても良いセラミック矯正は〝神経を残す〟セラミック矯正です。
僕の前歯は上6本、下6本、合計12本の前歯を約30年前に〝神経を残す〟セラミック矯正で治療しましたが、30年経っても全く何のトラブルもありません。〝神経を残す〟セラミック矯正で治療したことを非常に満足しています。
マウスピース矯正は透明なので、周りから気づかれにくく人気の治療です。しかし、当院では上記の理由から行っておりません。マウスピース矯正は、目立たず、取り外しができて便利そうだから気軽に始められそうだと感じるかもしれませんが、トラブルが急増し、矯正歯科学会も注意喚起している治療法でもあります。歯の治療について正しく判断し後悔しない治療ができるよう、お役に立てればと思います。
九段下スターデンタルクリニックでは、歯に優しい治療を心掛け、将来的にも後悔しない治療を行なっております。無料カウンセリングを行なっておりますので、お気軽にご相談ください。